室内でのヒートショックリスクが交通事故より高い日本の住宅

警視庁の統計では、平成27年度の交通事故で亡くなった方は、4,117人となっています。交通事故死は、年々減少していて、昭和45年のピークの時の106,765人から比べると、4分の1程度となっています。

対して、家庭内で亡くなる方は、年々増加をしている状況です。厚生労働省の調査では、平成27年度に家庭内の事故で亡くなった方は、13,952人で、そのうち浴室で亡くなっている方が4.804人であり、65歳以上の高齢者が9割に及びます。

左の図を見てもらうと、浴室での事故死が冬に多いのが読み取れると思いますが、その原因がヒートショックと言われています。暖房の効いた温かい室内から、寒い廊下や脱衣室に入ると、寒さで血管が収縮して血圧が急上昇します。その後に温かいお湯に入る事で、血管が膨張して血圧が急降下して、気を失う事となり、危険な状態となります。

これは、入浴時だけではなく、トイレに行ったり、朝起床時にフトンンから寒い室内に出る事でも起こる場合があります。

 

では、このような室内でのヒートショックよる事故を防ぐにはどのようにしたら良いのでしょうか。 

急激な温度差によって引き起こされる現象ですので、廊下や脱衣所、トイレ等を含めて温度差の少ない住まいを造る事が第一条件となります。屋根や壁に入れる断熱材をフェノールフォームなどの高性能な物をダブル外断熱仕様にするなどや、窓についても外気温の影響が少ない高性能な樹脂やアルゴンガス入りのペアガラスなどを採用した住宅が必要とされます。

住宅の断熱性能を表すものに、『外皮平均熱貫流率(UA値)』と言うものがあります。現在の日本での断熱基準に対する法律は、H28基準があり、平成29年4月から義務化を予定していますが、地域ごとのUA値は、千葉、茨城、東京等が含まれる5地域が0.87であり、ゼロエネルギーハウス(ZEH)の基準ですと、左記の地域が0.6となります。

国が進めている上記の基準は、地球温暖化防止のためのCO2削減に基づいた一次消費エネルギーの軽減のための物ですが、海外では、冬の朝で、暖房のしていない廊下やトイレ、脱衣室などの室が18℃以下となると、是正命令が出るそうです。これは、住む人の健康を考えた素晴らしい法律だと思います。

日本でも、「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」が進める、HEAT20(ヒート20)と言うものがあり、その住宅に住む人にやさしく健康を維持できるように、上記のZEHの基準を上回る断熱性能の高い基準を設けています。

HEAT20には、G1とG2があり、ともに断熱性のがとても高い物ですが、基準UA値は、G1で5地域0.48、6地域が0.56、G2では、5地域が0.34、6地域が0.46となっています。

健康に過ごせる住まいは、暖房している時よりしていない時の室温、暖房機がある部屋より無い部屋の室温、部屋の上下、水平方向の温度差が少ない事が重要です。

これらの健康住宅の水準をクリアできる住まいは、ダブル外断熱や、自然エネルギーを利用したソーラーサーキットなどの高性能な注文住宅に限られてきますが、その建築費が高くなることがネックとなります。断熱性能が高い住宅は、通常の住宅に比べて、冷暖房費が掛からず、光熱費を抑えることが出来ますので、住宅の建築費だけに目を向けずに、毎月の光熱費と住宅費の両方を合わせて検討する事が重要で、高性能住宅は、コストパホーマンスの優れた住宅と言えます。

ダブル外断熱や自然エネルギー利用システムなどの高性能で、自然素材などの室内環境を材料の性質により改善できる注文住宅こそが、本当のいい住宅と呼ぶのにふさわしいのではないでしょうか。